合宿免許の興味深さ
都会の真ん中のオフィスだって、野生のジャングルと変わりはしない。
世界は競争で回っているんだよ、となるのである。
しかし、さまざまな証拠がそれと逆のことを示している。
確かに、自分の野心を他人に勝ちたいという気持ちに結びつけることもできるだろう。
だが、それはあなたの選択であって、自然の選択ではない。
それに、進化によって協力的なグループ行動や利他主義を身につけたこと生物学的に見ると、人類と競争はますます関係がなくなる。
というのも、もし人類学の定義が正しいのなら、私たち人類は社会的動物であるからだ。
だから、人類史上の偉大な発見も、大惨事も、すべて協力の結果なのである。
共同作業があったからこそ、人類は地球上をすみずみまで探検できたのであるし、はるか彼方にある星々をのぞき見ることもできたのである。
また、たったひとりの行いでは、ここまでの環境破壊や軍事的な残虐行為もなしえなかっただろう。
つまり、私たちの社会生活もそれと同じで、助け合いや共犯の関係でなりたっているのだ。
今、道路を渡るお年寄りを助けてあげた人が、次の瞬間には何の理由もなく人に無礼な態度をとったりする。
競争は自然の摂理であるという説よりも、競争によって最大限の成果が引き出せるという説は、個体とその遺伝子の生存のうえでとても大切なことであった。
人類も、他の種も、競争がすべてではないのである。
たとえば、人類にとても近い性質を持つ類人猿ボノボは、争いが起こると、性的に親密な行動で互いの違いを解消しようとする攻撃的な性質にはホルモンが大いに関係していると考える人が多いが、それも違う。
攻撃性に関係あるとされるテストステロン(精巣から分泌きれる雄性ホルモン)は、戦いの前ではなく、後に増えるのである。
これは人間も他の動物も変わらない。
人類学者のM・Hは、人間の行動について幅広い研究を行った。
彼は、試合前にテストステロンが減少した大学レスリングの選手や、医師免許をもらった直後にテストステロンが増加した医学生などの実例を紹介している。
また、病気やけがその他の理由で睾丸を失っても、軍隊の司令官として活躍し、戦闘での残忍さで広く恐れられていた男性が大勢いることも指摘している。
確かに、私たちの文化においては競争は人生の事実である。
教育も、スポーツやゲームも、ビジネスも、すべて競争によって結果が決まる。
そして、市場で勝ち抜くことは、義理も人情もかなぐり捨てることを意味する。
しかし、この弱肉強食のビジネス界においても、競争はたったひとつの側面にすぎない。
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